私たちの身近にいる、秋に鳴く虫の代表例として知られているコオロギですが、その趣きのある何とも言えないあの鳴き声を、楽しみにしている方は多いかと思います。
コオロギの鳴き声は涼しげあり聞いていて気持ちが良く、コオロギの鳴き声が聴こえてきたら、秋がきたと実感する事が出来るため、まさに秋の風物詩と言っても過言ではありません。
この記事では、コオロギの鳴き声を聴ける時期はいつなのか、また、鳴き声で意外なことが分かってしまうことについてお話していきたいと思います。
この記事を読んだ後に、コオロギの鳴き声を聞く事で、今までとは違うコオロギの鳴き声の新しい楽しみ方が増えればと思います。
コオロギが鳴く時期と時間帯
コオロギの種類によって若干異なりますが、だいたい8月~11月頃に鳴き声を聞く事が出来ます。
コオロギの鳴く時間帯の大きな特徴として、
・夏の日中暑い時期は夜に鳴くきます
・秋に入った直後など気温が下がってきたら一日中鳴きます
・秋から初冬にかけて寒くなると日中だけ鳴きます。
そのため、地域によっては初冬まで聴ける場合もあります。
コオロギの鳴き方の意味と使い分け
コオロギの鳴き声は、コオロギの種類によって微妙に異なりますが、すべてのコオロギに共通することは、オスのみが鳴く事と、共通して鳴く3つの理由がある事です。
そしてコオロギは自分の意思を鳴き声を使い分けて伝えてる事が出来ます。
なぜなら、コオロギは鼓膜を持ち、音を聞き分けることができるからです。そのため、自分たちが発する鳴き声で、
行動や意思を相手に届けることができるのです。
次にコオロギのオスが鳴く3つの理由とそれぞれの鳴き方の特徴についてお話します。
威嚇
鳴き声は、「チ、チ、チチチ」と、短いのが特徴的です。
これはオスとオスが激しく戦いを繰り広げている時によく聞こえる鳴き声であり、この音は主に相手に近寄るな!!という意思表示をしている証であり、コオロギはこの音を聞き、その場になるべく近寄らないようにしています。
しかし、メスの取り合いや縄張りの奪い合いなど引き下がるわけにはいかない時は、この音を聞いてもオスは身をひく事はありません。
メスを呼ぶ
3種類の鳴き声の中では1番周囲に響き、音量もかなり大きいです。一番この音を聞く確率が高いかと思います。
そのため、一般にコオロギの鳴き声と言われている鳴き声は実は、メスを呼ぶ時の鳴き声になります。
この声を聞いた、メスはその音の発生源、つまりオスの元へと向かっていきます。また、この音を聞いたオスはその場所から少し離れた地点へと移動していきます。
そうすることでオス同士がすぐ隣で威嚇して、鳴き合う事態を防ぐ事が出来ます。
メスを口説く
メスに対して優しく、ささやくように静かな鳴き声が特徴です。
これはメスを呼びよせ、そばまで来てくれた場合にオスが示す行動になります。
お目当てのメスが来てくれたのですから、もう激しく自分を主張する必要はありません。
メスはそれを聞き相手を選ぶ最終判断をしています。
コオロギの鳴き声からヒトが判断できる事とは
昔から、コオロギの鳴き声の回数を聞くと、気温が分かると言われています。
それを、今から科学的な根拠についてお話していきます。
実際に、生態学の研究で、コオロギに限らず、鳴き声を発する昆虫の多くは、鳴き声を発するメカニズムに温度が
密接に関係していると言われています。
このような生物を一般的に変温動物といい、外部の温度で自身の体温が変わるため、まさしく生きた温度計と言っても過言ではありません。
実は、先ほどお話した内容で、コオロギが鳴く時期と時間帯に書いてある内容がそのまま答えで、コオロギは鳴くときの気温が限られているからです。
そのため、コオロギの鳴く回数で気温が分かるということになります。外部気温をコオロギの鳴き声の関係式は、
外部気温(℃)=(15秒間に鳴く回数+8)×5/9
となります。
たとえば、15秒間に15回鳴いた場合、
(15+8)×5÷9=12.777…=12.8℃
これにあてはめたら、気温30度のときは、15秒間に46回鳴くことになります。
計算式から分かりますように、平温動物であるがゆえに、体温が下がってくると、動きも鈍くなり、鳴き声の回数も減ってきます。
しかし、ここで勘違いしてほしくありませんが、この計算方法には何の根拠も無い事をしっかりと認識しておいてください。あくまでも、気温と鳴く回数のデータから上記の計算式が出来ただけです。
ここまでの情報を知っているだけで、
・昼間に鳴き声聴こえてきたから気温下がっている
・鳴き声がさかんで回数多いからいつもより暑い
という風に、ただコオロギが鳴いているというだけでなく、一歩上の哀愁を味わう事が出来るかと思います。
コオロギの鳴き声を聞くには
自然の状態でナマで聞く
公園、草地、林、田んぼ、畑、池、川など、様々な場所でコオロギを見る事が出来て、コオロギの鳴き声を楽しむ事が出来ます。
捕獲して飼育する
コオロギを捕まえてきて飼えば、ゆっくりと声を鑑賞することができます。
コオロギの捕まえ方
捕まえる容器は、捕獲用の餌を入れたペットボトルや間口の広い瓶などを使い、中には、虫を見つけた環境に合わせて、土を入れるなり、草を入れたりしておきます。
草の上にいる虫の場合、その草を餌としていることもあるので、草も一緒に取ってくるようにして、セットして置いておきます。
コオロギの飼い方
餌は種類によって違いますが、コオロギは基本的に雑食性で何でも食べます。
例えば、リンゴ・キュウリ・ナスなどの植物性のものと、にぼしなどの動物性のものを与えておくと、栄養面も考えても大丈夫です。
また、ひとつの容器に何匹か入れておくと共食いしやすいので、分けて飼うなり仕切りとなるものを入れるなりしなくてはなりません。
最後に当たり前ですが、餌はきちんと上げないと死んでしまいますので、定期的に餌をあげるようにしてください。
まとめ
コオロギの鳴き声から分かる事は、
・鳴き声には、威嚇、メスを呼び寄せ、口説くの3種類があり、それぞれ使い分け、聞き分けている。
・コオロギは平温動物であるため、鳴き声の回数から今の気温をおおよそ予想する事ができる。
・コオロギは雑食性で様々な場所にいるので、飼いやすいため、身近な昆虫である。