小中学校の理科の授業、高校の生物授業を通じて必ず「光合成」という単語を聞いた事があると思います。
理科や生物が苦手な方でも光合成だけは何となく分かると思います。
実際、光合成は植物の生き方そのものであり、植物の謎を紐解く基礎になっており、私たち人間が生きていく上でも重要な役割を果たしてくれます。
そのため、光合成の仕組みについて理解しておく事は、直接関係あるのは試験勉強の時だと思いますが、最近では人工光合成というものも出てくるなど、様々な恩恵をもたらす光合成について知っておく事は大事かと思います。
この記事では、光合成の仕組みについて小中高ごとに理解しておきたいレベルで説明したいと思います。
光合成の仕組みとは
光合成の仕組みをレベル別に解説していきますが、現行の指導要領によっては、レベルの内容が異なる事がありますが、あくまでもレベルは目安ですので、ご了承ください。
小中学生レベル
植物の葉の緑の部分(葉緑体)に日光が当たると、根から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素を気孔が取り入れて、でんぷんと酸素を作ります。
作られたでんぷんは、葉で糖に変えられ、成長の盛んな部分や果実へ送られ、酸素は気孔から放出されます。
同じ植物でも緑色をもたない葉は、葉緑体がないため光合成をおこなう事が出来ません。
夜や雨の時は、日が当たらないので植物は呼吸をします。この時、気孔で酸素を吸って二酸化炭素を出しています。
ここで勘違いしてはいけませんが、植物は昼間も呼吸しているが、光合成の働きの方が盛んであるため、呼吸が目立たないだけです。
昼間の光合成の反応式は、
二酸化炭素+水→でんぷん+酸素
となります。
最後に、光合成の仕組みがわかる実験として有名な「オオカナダモの実験」を紹介します。
オオカナダモの実験は、「光合成は二酸化炭素をとりこみ、呼吸は二酸化炭素を出す」ということを確かめる実験です。
今回の実験では、「二酸化炭素は水にとけると酸性を示す」という性質を利用しており、BTB溶液と言う酸性(黄色)、中性(緑色)、アルカリ性(青色)に変色する指示薬を用います。
高校生レベル
葉の葉緑体が、二酸化炭素と水を原料にして、ぶどう糖をつくることによって、光のエネルギーをそのぶどう糖に閉じこめて保存することです。
そしてぶどう糖をその場ですぐに保存しやすいデンプンに作りかえてしまいます。
そのため、光合成をした葉を調べると、本来はぶどう糖が検出されないといけないのですが、ぶどう糖ではなくデンプンが検出されます。
これらを踏まえて、光合成を化学反応式で表すと、
6CO2(二酸化炭素) + 6H2O(水) → C6H12O6 (ぶどう糖)+6O2(酸素)
6個の二酸化炭素と6個の水を使って1個のぶどう糖をつくるときに酸素が6個余ります。
実は光合成において、酸素は余るから放出するため、酸素を作る事自体は目的としていない事が分かります。
デンプンを溜め込むのは、植物自体が呼吸を行なうためのエネルギー源となるため、植物は自ら生きるためにエネルギーを生産してそれを使うという事を繰り返しているのです。
その行為が結果的に地球上の生物に必要な酸素を産みだしてくれているのです。
また、光合成の時は、原料の水は酸素と水素に分解され、水の水素と二酸化炭素からブドウ糖と水を再合成をします。
酸素は不要物として大気中に放出されます。
そのため、本来の正しい光合成の化学反応式は、
6CO2(二酸化炭素) + 12H2O(水) → C6H12O6 (ぶどう糖)+6H2O(再合成の水)+6O2(原料水による不要物)
になります。
水によって分解された水素の役割は、ATPという物質をつくるのに使われます。
ATPとは、アデノシン三リン酸の事であり、エネルギーの放出・貯蔵、あるいは物質の代謝・合成の重要な役目を果たしてくれます。
そして、このATPのエネルギーを使って、二酸化炭素からぶどう糖などの有機物が作られます。