冬になり寒さがきびしくなりますと、セーターやマフラー、コートをいくら着ても、体がぶるぶる震えて、なんだかんだ使い捨てカイロを使う機会は増えると思います。
しかし、何げに使っている使い捨てカイロですが、なぜ使い捨てカイロは封を開けた瞬間から熱を帯びて温かいのでしょうか?
この記事では、使い捨てカイロが温かくなる仕組みについてお話したいと思います。
使い捨てカイロの中身とは
カイロが温かくなる仕組みを解決するには、カイロの中に入っているものが鍵を握っています。
ここでは、使い捨てカイロの中に入っているものについて述べたいと思います。
鉄粉
カイロ全体の約54%含まれています。カイロが熱を帯びる物質になります。
活性炭
カイロ全体の約15%含まれています。活性炭の表面の気孔に空気を取り込む役目があります。
塩類
カイロ全体の約3%含まれています。カイロに使用されている塩類は、ほとんどが塩化ナトリウムか塩化カリウムです。塩類には燃焼を促進する触媒の役割があります。
水
カイロ全体の約28%含まれています。水を加える事で鉄粉を錆びさせる速度を早める役割があります。
バーミキュライト
保湿材であり、水によって鉄粉がベタベタするのを防ぐ役割があります。
カイロが温かくなる仕組みとは
物凄く簡単に言えば、カイロの仕組みは、鉄粉の燃焼反応(酸化反応)による発熱で温かくなります。
物質を燃焼させるのに酸素が必要であるため、封を開ける事で空気と触れる事で空気中の酸素と鉄粉が結びつき、発熱反応をおこして温かくなります。
カイロが熱くなりすぎない理由とは
鉄粉が酸素に触れ続け酸化反応が進みますと、本来は火傷を負うぐらい発熱します。
使い捨てカイロを直接地肌につけるのはさすがに論外ですが、なぜ空気に触れた瞬間から、ちょうどいい温かさを保ち続ける事が出来るのでしょうか?
この質問に対する答えは、活性炭と塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム)、水が大きく関わってきます。
例えば、炊事中にガスコンロの火がてんぷら油に燃え移り、激しく燃え上がったとします。その時は水に濡らしたタオルを鍋にかけるのが一般的な対処法ですが、これは、濡れタオルが酸素と油を遮断する事で、火を消すことが出来ます。
使い捨てカイロもてんぷら油と同じ原理で、熱くなりすぎないのです。
先程もカイロの中身の成分でも軽く触れましたが、活性炭は空気を取り込む働きがあります。つまり、天ぷら油の所でいう、濡れタオルの役割を果たします。また、活性炭の孔の表面に水がついているため、さらに燃焼を抑える事が出来ます。
ここで、さらにもうひとつ疑問が出て来ると思いますが、わざわざ燃焼を抑える働きの活性炭を入れておきながら、なぜ鉄粉の酸化反応を促進する塩類を入れる必要があるのでしょうか?
それは、塩類を入れる事ですぐに温かくなるからです。
いくら火傷が怖いと言っても、カイロの封を開けてすぐに発熱しなければ、使い勝手が悪いです。
そのため、酸化反応を促進する塩類と、燃焼を抑える活性炭の両方を入れる事で、カイロの封をあけてからすぐに50℃近くを保つ事が出来ます。